10月26日 舞台美術ワークショップ

今回の演劇で使われる舞台セットは、すべてワークショップで制作されています。連日連夜の稽古でなかなか制作の現場に行けなかったやなぎさんですが、今日は稽古の後に直行し、最後の仕上げに向けて作業を行いました。

21日の時点ではまだ色がついていなかった舞台セットですが、今はすっかり舞台セット然としており、とてもかっこいいです。ここに照明があたって、役者さんが乗るのころを想像するとわくわくします。

作業は、築地小劇場の舞台美術家である吉田兼吉の資料を基に作られていますが、当時の資料は白黒のため、すべては想像と推測をしながらの作業です。やなぎさんは明日もワークショップのメンバーとともに制作に励みます。

(アシスタント 武蔵野美術大学 小林あずさ)

10月24日 貴重な初版本

「海戦」金星堂 1924年初版
ラインハルト・ゲーリング
伊藤武雄訳
1924年のラインハルト・ゲーリング作「海戦」は
戦艦ポチョムキンの下敷きにもなった脚本です。
(やなぎ)

10月23日 海戦クライマックス稽古

毒ガスを使って前進する突撃兵 1924

今日が何曜日なのか何月なのか、季節はどうなっているのか、劇場という別世界にいると分からなくなります。わかっているのは公演までのスケジュールのみ。今日は「1924海戦」の劇中劇部分の稽古。軍艦内で被弾した水兵たちがガスマスクを付けて瀕死になるのですが、どこかで見た「絵」だと思ったら、これでした。

オットー・ディックス、何と1924年の制作。この時代の危機感を感じます。「海戦」の戯曲家ラインハルト・ゲーリングとディックスはドイツで同世代、交流があったのか調べてみたいです。

それはともかく、まずは現実問題。マスクは俳優さんたちの発声に負荷が大きいので色々工夫を凝らしてます。(やなぎ)

10月22日ビオメハニカ集中稽古

今日と明日はビオメハニカ集中稽古です。講師のニジェリスコイ氏はメイエルホリドの「外から内へ」の表現について身体で解説してくれました。

確かに歌舞伎に似た表現が多く驚きます。弓矢や短剣など少々血なまぐさい動作を用いたポーズも多く狩猟民族の歌舞伎(?)といった感じ。(やなぎ)

10月21日

12時〜19時までみっちり稽古。
本番では一瞬で過ぎてしまう場面を何回も何回も長い時間をかけて丁寧に作っていきます。やなぎさん、あごうさん、舞台監督さんや技術のスタッフさん、そして役者さん全員がベストな作品にするために試行錯誤を繰り返しています。少しずつしか進みませんが、着実に作品が出来上がっていく感覚に毎日興奮しています。水兵のみなさんはとてもエネルギッシュで真剣に、時にはわいわいと盛り上がって現場を活気づけています。やなぎさんの作品には珍しく男性ばかりですが、とてもよい雰囲気です。
本日は、稽古の後に公演が行われるKAAT大スタジオに移動し組まれたセットを見に行きました。実際に組まれたセットは圧巻。役者さんたちは早速本番の距離感を確認していました。今回、本番で使われる舞台セットはワークショップで現在制作中です。完成が楽しみです。
写真は、組み上がった舞台を見ているやなぎみわさん。毎日、不眠不休で作品と向き合う姿は大正期の築地に生きた人びとによく似ているのではないでしょうか。

アシスタント 武蔵野美術大学 小林あずさ

10月20日

今日から7時間稽古。俳優さんたちは稽古前は1時間前に来て、
稽古後は1時間は延長で自主稽古してます。
嬉しくて涙が出ますが、本番前に燃え尽きて灰にならぬか心配。風邪気味の人は
早く休んでと言いたいところ….でも、あまりに熱心なので言いにくい。
土曜日に再びビオメハニカの指導があるので、先生が来るまでに
何とか仕上げておきたい気合を感じます。
ビオメハニカはソ連の演出家メイエルホリドが提唱した俳優術理論です。
解説はこちら。
http://www.yanagimiwa.net/1924/f01.html

(やなぎ)

10月20日 衣装合わせ


本日から稽古の時間が1時間延びたのにも関わらず、稽古場にいるすべての人間が集中力を切らさず稽古が行われました。役者さんは開始1
時間前の自主練習と居残っての自主練習。かなりハードですが、水兵役の役者さんたちは今日もエネルギッシュで頼もしいかぎりです。
 そして、稽古の後は、衣装合わせ。衣装は当時実際に使われていたものを丁寧に仕立て直したものばかり。キャストのキャラクターや社会的背景を丁寧に参照しているので、どれも必見です。
 なかでも、やなぎさんがこだわったのは水兵の帽子です。額の文字はロシア語で「前兆」です。ゲーリング『海戦』の冒頭で水兵によって叫ばれる「前兆」という言葉。時を超えて、2011年のKAATで甦ります。

アシスタント 武蔵野美術大学 小林あずさ

10月18日

海戦関連資料
本日も、活気のある稽古。細かい演出を試行錯誤しながらどんどん決定していく作業を繰り返しています。今回の『1924海戦』は、演劇史や関東大震災など実在した出来事が題材になっているため、楽屋や役者さんの休憩スペースには当時を知ることができる1920年代や演劇史の貴重な文献が置いてあります。
やなぎさんとあごうさんはそれらを参照しながら丁寧に作品を演出しており、地道な作業のなかに愛を感じます。
 美術ファン、演劇ファン以外のロシア文学や1920年代の日本史に関心がある方にも見ていただきたい作品です。さまざまな要素が絡み合いひとつの作品として結実する瞬間をKAATで目撃して下さい。

(アシスタント 小林)

10月16日

立教大学の先生が劇場に来てくだり、メイエルホリドのロシア語の録音が無事に終了。
情熱的に発語してくださったせいかもしれませんが
臨場感があり、ロシアのプリミティブな力強さ、
血潮が伝わってくるようでした。革命当時のロシアの空気が流れ風景が見えるようで、自分でも驚きました。
(やなぎ)

10月14日

部分的な稽古の後、通し稽古が行われました。今まで部分的に作ってきたものをひとつに繋がる瞬間に立ち会い、震えるような感動を覚えました。演劇の創作はたくさんの人が関わり、ひとつの作品を完成させるために同時多発的にさまざまなところで創作が行われていきます。通し稽古では、まだまだ手を加えなければならない場面も多い状態でしたが、各人のエネルギーが溢れ出していました。それが劇中の築地小劇場の黎明期とリンクし言い知れぬ興奮を覚えざるをえません。村山知義がこのラインハルト・ゲーリング作「海戦」を見て「魂がでんぐりがえるほど驚いた」のは、このことなのでしょう。

 通し稽古のあとは、本番が行われる大スタジオにて映像の打ち合わせが行われました。有能なスタッフさんと不眠不休にも関わらず、集中力を切らさず演出をつづけるやなぎさんによって無駄なく進行する打ち合わせは圧巻でした。映像や小道具も目下制作中。完成が楽しみです。創作と引用と史実が交錯する『1924海戦』。築地小劇場とKAATのシンクロはどんな作品を創りだすのでしょうか。公演初日まであと20日間。乞うご期待。

(アシスタント小林)

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