ゼロアワーご観劇ありがとうございました。(やなぎ)

ご観劇くださった皆様へ

おかげ様で「ゼロ・アワー」愛知公演の全ステージが無事に終わりました。
愛知公演もお客様からも大変ご好評をいただき、安堵しています。
劇場で過ごした長い夏がやっと終わります。

「ゼロ・アワー 東京ローズ最後のテープ」は、
東京ローズとされたアイバ・郁子・戸栗をモデルにし、
史実とフィクションが混ざり合いながら、戦争とメディアの問題を扱っています。
欧米で、都市における女性の職業として定着したタイピストや電話交換手などは、忠実に口述されたものを一字一句正確に伝える「オペレータ」という存在であり、アナウンサーやエレベータガールも、オペレータという系譜につながる存在です。
女性をメディアそのものであるがごとくに透明化してきた列強国があり、それをそのまま輸入した日本の中が戦争を始めた時、日米2つの国の間にある女性たちが、オペレーターをすることで生き延びようとしたのは史実です。
様々な力学の中で、翻弄される人間の姿を、演劇は、ハムレットのいうところの「大鏡」で映し出し今の世を問うことが出来ます。

この作品は、
作品至上主義の精神を貫く神奈川芸術劇場のクリエイション、
最後まで自ら演技のハードルを上げ続ける俳優たちの精神力、
全国から集ってくれたスタッフや京都造形芸術大学の学生の働きと、
あいちトリエンナーレの小崎プロデューサーの歴史と芸術への造詣の深さ
に恵まれました。
またいつか再演が叶うことを願って止みません。
この作品を観て下さった全ての方々に感謝いたします。

やなぎみわ