ありがとうございました

「1924人間機械」世田谷公演が、昨日、終了いたしました。
これで1924三部作の全てが終わったことになります。
「1924」を、ご観劇いただいた方、ありがとうございました。
また、この私にこの時代の芸術を教えて下さった、演劇、舞踊、美術、文学に
わたる研究者の方々に心より感謝を申し上げます。
「人間機械」では、ラストシーンの印象が強かったせいか、
演劇を武器に、美術の制度、または美術史へ批評を行った形になりました。
長年、村山知義研究をされ困難極まる展覧会を立ち上げた美術館の方々と、
それを演劇化すようとする行為には、複雑な心理的葛藤があり、
それは、熱いブラックボックスで立ち消えていく演劇と、
冷蔵庫での永久保存を目指す美術の、葛藤そのものでもあります。
美術館のセットではなく、本物の美術館でなければならない。
美術とは何かを問うために。
つまり「1924」は、美術を批評しつつ美術館のご協力がなければ実現しないという矛盾を初めから孕んでいたといえます。
見に来て下さった多くの方々からは、この揺さぶりへの共感と反感の両方の感想を頂きました。
中には「展覧会のための販促公演」という無垢で微笑ましい解釈もありましたが、それも全く構いません。演劇は子供から大人まで全ての人に支えられるものです。

とにもかくにも、私が何とか演劇に踏み出した初めの一歩として、
演劇と美術のモダニズム、アバンギャルドとプロレタリアのテーマに取り組めたことは、本当に意味がありました。
トシもトシなので焦っていきなり「本丸」に手をつけた、見切り発車的な出発ではありますが、先人の、前衛の気概に、決して恥じぬように作品を作っていきたいと思っております。

やなぎみわ